あなたの報酬はなぜ安い?現役診断士が語る「中抜き7割」の下請け地獄と、ただ働きを容容する業界の闇

はじめに:あなたの「専門性」は、正当に評価されていますか?

こんにちは。中小企業診断士の与田太一です。
難関試験を突破し、晴れて「経営コンサルタント」という専門家の仲間入りを果たしたあなた。あるいは、これからその高みを目指そうとしているあなた。その努力に見合った、正当な報酬を得られる未来を思い描いていることでしょう。
しかし、もしあなたがすでに診断士として活動を始めているなら、こんな現実に直面していないでしょうか?
- 「なぜ、これだけ働いているのに、手元に残るお金は僅かなのだろう?
- 「なぜ、専門家であるはずの自分の報酬が、これほどまでに買い叩かれるのだろう?」
- 「なぜ、この業界では『勉強させてやる』という名目で、無償の労働がまかり通るのだろうか?」
その答えは、個人の能力や努力の問題では決してありません。あなたが直面しているその理不尽さの根源には、中小企業診断士業界に深く根付いた、極めていびつな「搾取構造」が存在するのです。
私が本書『中小企業診断士やめとけ』で最も告発したかったことの一つが、この業界の根深い闇です。今回は、あなたの報酬がなぜこれほどまでに安いのか、その元凶である「中抜き7割の下請け地獄」と「ただ働きを容認する業界の体質」について、本書の内容を基に、一切の忖度なくお話ししたいと思います。
報酬7割は当たり前?絶望的な「下請け地獄」のリアル
あなたの価値は「3割」しか認められない



まず、あなたが知るべき衝撃的な事実。それは、この業界で仕事をもらう「下請け」の診断士は、報酬の実に7割を元請けに中抜きされるのが相場だということです。
「この業界の相場として、下請けの診断士は、報酬の約7割を元請けに中抜きされる」
信じられないかもしれませんが、これが現実です。人によっては折半(50%)というケースもありますが、元請けが会社組織である場合、7割が差し引かれることは覚悟しなければなりません。
例えば、診断士の主要な業務である補助金の申請支援で考えてみましょう。
ある案件の着手金が20万円だったとします。その仕事を受注してきた元請けの会社や先輩診断士が、まずその7割にあたる14万円を手にします。そして、実際にクライアントと向き合い、事業計画書を作成し、汗を流して作業するあなた(下請け診断士)に配分されるのは、残りのわずか3割、つまりたったの6万円なのです。



この構造の中で、どれだけ働いても豊かになれないのは当然です。
あなたは、自分の市場価値が「3割」であると、業界構造そのものから規定されてしまっているのです。
なぜ、あなたは「下請け」から抜け出せないのか?



では、なぜ多くの診断士が、このような理不尽な下請け構造に甘んじてしまうのでしょうか。
その理由は、多くの診断士が「自分で仕事を見つけてくる能力」を持っていないからです。
私の肌感覚では、自分で直接クライアントから仕事を取ってくる「元請け」になれている独立診断士は、全体の2割か3割程度に過ぎません。
つまり、独立していると名乗る診断士の実に約7割が、どこかの会社や先輩診断士から仕事をもらって食いつないでいるのが実情なのです。
企業に勤めている「企業内診断士」に至っては、ほぼ100%がこの下請け構造の中にいると言っていいでしょう。自力で顧客を開拓する方法を知らないため、たとえ報酬が安くても、仕事を与えてくれる元請けに依存せざるを得ない。この弱みにつけ込み、搾取が成り立っているのです。
「勉強させてやる」という名の搾取。「ただ働き」を容認する業界の闇
信じられますか?この業界では「ただ働き」が構造化している
報酬が安いだけなら、まだ我慢できるかもしれません。しかし、私がこの業界で最も深刻な問題だと感じているのは、「
『ただ働き』が構造化してしまっている」という、信じられない現実です 8。
「信じられないかもしれないけど、この業界には『中小企業診断士には、ただで働かせて当然だ』という、おかしな風潮が蔓延している。僕自身、ただ働きをさせられた経験があるよ」 9
特に悪質なのが、「勉強させてやる」「ノウハウを教えてやる」という甘い言葉を餌に、新米の診断士を無償で労働させるケースです 10。実態は、面倒な雑務をただでやらせるための口実に過ぎません 11。
なぜ、このようなことがまかり通るのか。その背景には、衝撃的な現実が隠されています。
「この裏には、たぶん、上の診断士もただで人を使わないと回らないほどしか稼げていない、という現実があるんだろうね。どんなに稼いでいるといった診断士でも、年収1000万から2000万程度だから、人を雇ってまともな給料を払ったら、自分の取り分がほとんどなくなってしまう」 12
つまり、搾取する側の先輩診断士自身も、実はそれほど儲かっていないのです。だから、「教育」という大義名分を掲げ、後輩を無償で使うことでしか、自分のビジネスを回せない。この負の連鎖が、「ただ働き」の文化を温存させているのです。
元凶は「診断協会」にあり
そして、この異常な体質の元凶はどこにあるのか。私は、本書でハッキリと断言しています。
「ハッキリ言おう。診断協会が一番悪い。協会自体が、このただ働きを構造化させている元凶なんだ」 13
診断協会には、マーケティングや事業承継といった様々なテーマの「研究会」が存在しますが、これらの活動は、驚くべきことに
すべてが無料奉仕で成り立っています 14。協会活動そのものがボランティアであるため、その中で誰かに仕事を頼む際にも、「無料でやってもらって当然」という感覚が麻痺してしまっているのです 15。
「勉強できるのだから、タダで当たり前でしょう」 16。
この無料奉仕の感覚のまま、あらゆることを診断士に求めてくる人が、私の感覚では8割から9割もいます 17。あなたがこれから足を踏み入れようとしているのは、残念ながら、そういう「しょうもない業界」なのだという現実は、知っておくべきです。
資格維持コストという「重税」が、あなたをさらに苦しめる
お金と時間を奪う「実務ポイント」という名の地獄
この搾取構造に、さらに追い打ちをかけるのが、診断士資格を維持するための過酷な条件です。資格は5年ごとの更新が必要で、そのために「診断実務の支援」、通称「実務ポイント」を30日分クリアしなければなりません。
独立して潤沢に仕事があるならいざ知らず、大多数の「企業内診断士」にとって、会社に勤めながら30日分のコンサル実績を作るのは、物理的にほぼ不可能です。
では、実績がない人はどうするのか。
「平たく言えば、診断協会が主催する、ありがた〜いコンサルティングの補習を受けるしかないんだ。企業内診断士のほとんどは、この協会の補習を受けることで、なんとか実務ポイントを稼いでいる」
しかし、この補習こそが、まさに地獄なのです。
- ① 高額な費用:5日間のコースで、5万円から6万円もの費用がかかります。
- ② 有給休暇の消費:研修は平日に開催されることが多く、参加者は自らの有給休暇を潰して参加します。
- ③ お金を払って「ただ働き」:そして最も理不尽なのが、高額な費用と貴重な有給を支払って参加するこの研修で、あなたは中小企業のコンサルティングを無償で行うことになるのです。報酬はゼロ、むしろ、こちらがお金を払って働くという、本末転倒な仕組みです。
「『お金を払ってコンサルティングをすれば実績になるの?』って、誰だって思うだろう?でも、中小企業庁や協会は、そういう矛盾した仕組みを平然と運用している。これが実態なんだ」
さらに、この研修には「講師ガチャ」が存在し、運悪く質の低い講師に当たれば、徹夜作業を強いられるなど、心身ともにすり減らされる「三重苦」を味わうことになります。
この搾取地獄から、どうすれば抜け出せるのか?



ここまで、私は診断士業界が抱える絶望的な搾取構造についてお話ししてきました。
「中抜き7割」の下請け地獄、「ただ働き」を容認する業界の闇、そして資格維持のための「重税」。これでは、あなたの報酬が安いのは当然です。
では、どうすればこの地獄から抜け出し、専門家として正当な報酬を得ることができるのでしょうか?
本書『中小企業診断士やめとけ』は、単に問題を告発するだけではありません。このいびつな構造から脱出し、自らの力で「元請け」となり、顧客から直接仕事を受注するための、具体的な戦略と戦術を余すところなく解説しています。
- 今すぐ「脱下請け」を目指すための思考法
- 会社組織ではなく、「個人」で戦うことの重要性
- 協会や人脈に頼らず、自力で仕事を見つける3つの具体的な方法
- 「飛び込み営業」や「銀行連携」が、実は最強の武器になる理由
あなたの価値は、誰かに決められるものではありません。あなた自身が、その価値を顧客に直接問い、証明していくのです。
もしあなたが、今の報酬に疑問を感じ、搾取されるだけの現状から本気で抜け出したいと願うなら、本書は、そのための強力な武器となることをお約束します。
もう、買い叩かれるのは終わりにしませんか?
あなたの専門家としての本当のキャリアは、この搾取構造の正体を知り、そこから抜け出すと決意した瞬間から始まります。