その自己投資、大丈夫?受講料100万円、でも中身は2000円の本レベル?診断士を狙う高額講座ビジネスの闇

はじめに:「学びたい」という純粋な気持ちが、カモにされる現実

こんにちは。中小企業診断士の与田太一です。診断士というか、コンサルの稼ぎ方の1つに講座ビジネスなるものが存在します。
独立を目指す、あるいは専門家としてさらなる高みを目指すあなたは、きっと向上心に溢れ、「もっと学びたい」「新しいスキルを身につけたい」という純粋な気持ちをお持ちのことでしょう。
そんなあなたの目に、最近こんな魅力的な広告が飛び込んでくることはありませんか?
- 「このノウハウを学べば、あなたも人気コンサルタントに!」
- 「未経験からでも稼げる!〇〇コンサル養成講座」
- 「年収1000万円を実現する、講師になるための秘伝のテクニック」
マーケティング講座、財務コンサル講座、DXコンサル講座、そして「講師になるための講座」に至るまで、私たちの周りには、輝かしい未来を約束してくれる、実に多くの「高額講座」が存在します。



受講料は数十万円、中には100万円を超えるものも珍しくありません。
「プロになるための投資だ」「これで稼げるようになるなら、安いものだ」
あなたは、そう自分に言い聞かせ、その高額な自己投資に踏み切ろうとしているかもしれません。
しかし、一歩立ち止まって考えてみてください。その講座に、本当に支払う金額に見合った価値はあるのでしょうか?
私が本書『中小企業診断士やめとけ』で警鐘を鳴らしたかった、もう一つの業界の闇。それが、士業やコンサルタントの「学びたい」という純粋な気持ちを食い物にする、「高額講座ビジネス」の実態です。
この記事では、私がこれまで見聞きし、そして実際に潜入してまで調査した、このビジネスの巧妙なカラクリと、あなたがカモにされないために知っておくべき不都合な真実について、本書の内容を基に、すべてをお話しします。
高額講座ビジネスとは何か?その巧妙なビジネスモデル
正体は「情報商材」。その価格と構造
まず、私たちが「高額講座」と呼んでいるものの正体について、ハッキリと定義しておきましょう。これは、私が本書で指摘している通り、本質的には「情報商材」です。



15年くらい前に、「秒速で1億円稼ぐ」といったキャッチコピーで一世を風靡した、あの世界と構造は変わりません。
「このノウハウを覚えれば、これだけ稼げるから、講座を受けてください」という謳い文句で、士業やコンサルタント志望者をターゲットに、様々な講座が販売されています。
その価格は様々ですが、私が知る限り、20万円から100万円ほどのものが多く、中央値としては50万円くらいという感触です。そして、この情報商材の販売を、メインの収益源にしている士業やコンサルタントも、実は少なくないのです。
彼らのビジネスモデルは、非常に巧みです。
「多くの場合、ビデオ教材などを売るのが基本で、それに添削や合宿、アフターフォロー、あと雛形テンプレートなんかを組み合わせて販売している。一度ビデオやテンプレートを作ってしまえば、あとはコンテンツとして売るだけだから、まさに情報商材ビジネスだよ」
一度作ってしまえば原価はほぼゼロ。あとは、いかに高く、多くの人に売るか。これが、高額講座ビジネスの本質です。
私が「情弱ビジネスだ」と断言する理由。その中身の驚くべき実態
元ネタは2000円の「本」。古典の焼き直しに100万円を払う人々
では、その数十万円、数百万円の価値があるとされる講座の中身は、一体どのようなものなのでしょうか。
私は個人的な意見として、このビジネスに対して非常に大きな疑問を感じています。
本書で、私が「これは『情弱ビジネス』の側面が強いんじゃないかな」とまで断言しているのには、明確な理由があります。
これまで私自身、様々な講座の体験会に参加したり、実際に受講した方々から話を聞いたりしてきました。 そこで見えてきた衝撃的な現実は、
「正直言って、内容がしっかりしているところは、ほとんどないね」
というものです。
内容がしっかりしていないとは、どういうことか。それは、講座でさも秘伝のノウハウのように語られていることの「元ネタ」が、驚くべきことに、
普通に本屋で売られている数千円の書籍だったりするケースが非常に多い、ということです。
「僕の専門のマーケティング分野の講座なんて、どの本を参考にしているか、すぐ分かってしまう。しかも、多くは例えば20年くらい前に売られた古典が元ネタで、最新の状況には対応してないことが多い」
つまり、多くの受講生は、わずか2000円か3000円で手に入る、あるいは図書館で無料で読めるような古典的な知識の「焼き直し」に、何十倍、何百倍もの大金を支払っているのです。
「成功事例」のカラクリ



「でも、実際にその講座を受けて成功している人もいるじゃないか」という反論があるかもしれません。
その通りです。一部に稼げるようになる人が出てくるのは事実です。 なぜなら、元ネタとなっている知識は、古典的であるがゆえに、ある程度、成功することが分かっている普遍的な手法だからです。
問題は、その「一部の成功者」を、主催者がどのように利用するかです。
「そういう一部の稼げた人を『成功事例』としてプロモーションするから、コロっと講座に申し込んじゃう人もいるよね」
主催者は、その他大勢の「稼げなかった人」については決して語らず、ごく一部の成功事例だけを大々的に宣伝します。 これが、次から次へと新たな受講生を集めるための、彼らの常套手段なのです。
なぜ、あんなに高いのか?受講料の半分以上が「広告費」という不都合な真実
あなたの受講料は、どこに消えるのか
そもそも、なぜこれほどまでに高額な値段設定になっているのでしょうか。
その講座に、本当に100万円の価値があるからなのでしょうか。答えはNOです。
「このビジネスをやるには、莫大な広告費やマーケティング費用がかかるからだ」
高額講座ビジネスの収益構造を支えているのは、Facebook広告やリスティング広告といった、大規模な広告宣伝活動です。 そして、そのコストは驚くほど高くつきます。
「顧客を一人獲得するのに、どんなに安くても10万円、普通は10万円から30万円くらいはかかってしまう。だから、そもそも講座代金を20万円から100万円といった高い値段に設定しないと、広告費すらペイできないんだ。構造的に、高くせざるを得ないんだよ」
これが、あなたが知るべき不都合な真実です。
あなたが支払う100万円の受講料のうち、その多くは、あなた自身への教育投資ではなく、次の「あなた」を見つけるための広告費と、主催者の利益に消えていくのです。 あなたが受け取るコンテンツの価値は、ごっそり引かれた「残り」でしかありません。
より安く、より質の高い学びの選択肢
私は、本書でこうも述べています。
「ぶっちゃけ、Udemyのセールなら2000円程度で、もっと質の高い講座がいくらでもあるし、元ネタの本もせいぜい2000円から3000円前後だ。Youtubeなら無料で色んな人が色んな最新のノウハウを提供している」
本当に価値のある知識は、もはや高額なお金を払わなくても、探せばいくらでも手に入る時代です。それにもかかわらず、古臭く、薄っぺらい内容を何十万円という価格で販売するビジネスが、果たして健全と言えるでしょうか。私には、そうは思えません。
あなたが「カモ」にされないために
この記事を読んで、あなたは今、ご自身が検討していた講座に対して、少し冷静な目を持てたのではないでしょうか。
もちろん、私はすべての高額講座を否定するつもりはありません。中には、価格に見合った価値を誠実に提供してくれる、良心的な講座もゼロではないでしょう。
しかし、あなたがこれから自己投資を考える際に、ぜひ思い出してほしいのです。
「この講座の料金のうち、一体いくらが広告費なのだろう?」と。
「この講座で語られる内容は、もっと安価な書籍やオンライン講座で代替できないだろうか?」と。
「学びたい」というあなたの純粋な情熱と、大切なお金、そして貴重な時間を、一部の悪質なビジネスの養分にしてはなりません。
本書『中小企業診断士やめとけ』は、こうした業界の罠を見抜き、あなたが本当に価値のある自己投資を行い、プロフェッショナルとして成功するための「目」を養うための一冊でもあります。
ぜひ本書を手に取り、甘い言葉の裏に隠された真実を見抜く力を身につけてください。
あなたの自己投資が、未来を切り拓くための、真に価値ある一歩となることを心から願っています。