【仕事がない方へ】診断士が協会に頼らず仕事を獲る7つの実践術|「飛び込み営業」と「銀行連携」が最強の武器になる理由

はじめに:「協会にいれば仕事が来る」という幻想を、今すぐ捨てろ

こんにちは。中小企業診断士の与田太一です。
- 「中小企業診断士の資格を取ったはいいものの、どうやって仕事を見つければいいのか分からない」
- 「診断協会に入会し、活動に参加しているのに、一向に仕事に繋がらない」
独立したての診断士の方や、これから独立を目指す方から、こうした悲痛な叫びを毎日のように耳にします。「仕事がない」という悩みは、この業界で最も根深く、多くの人が直面する現実です。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。
それは、多くの人が「中小企業診断士協会にいれば、誰かが仕事を紹介してくれるはずだ」という、あまりにも淡い幻想を抱いているからです。
私が本書『中小企業診断士やめとけ』で繰り返しお伝えしている通り、その期待は、ほぼ100%裏切られます。
「結論から言おう。協会経由の仕事はゼロではないが、仕事に繋がるのは非常に難しい」
その理由は、協会がほとんど「サロン化」しており、そもそも仕事を紹介できるほど稼いでいる診断士がほとんどいないからです。また、診断士は「一匹狼」気質が強く、チームプレーが苦手なため、自分のクライアントを他の専門家に紹介するという文化が根付いていません。
では、仕事がない私たちは、ただ指をくわえて待っているしかないのでしょうか?
答えは、断じてNOです。
この記事では、協会という「ぬるま湯」から抜け出し、自らの力で能動的に仕事を獲りに行くための、具体的で実践的な7つの方法を、本書の内容を基に徹底的に解説します。そして、その中でもなぜ私が「飛び込み営業」と「銀行連携」こそが最強の武器になると考えているのか、その理由まで深くお話しします。
診断士が自力で仕事を獲るための「7つの実践術」
実践術①:まず取るべき「認定支援機関」という名の入場券
自力で稼ぐための最初のステップ、それは経済産業省からのお墨付きである「認定支援機関」に登録することです。
これは、ビジネスの戦場に立つための、いわば「入場券」のようなものです。
「中小企業診断士なら比較的簡単に取れる。過去3年分の黒字実績があるか、あるいは経営革新計画の作成経験なんかがあれば、ほぼ申請だけで通る。これは大きなメリットだよ」



認定支援機関になると、国の登録サイトに名前が載るため、そこから直接「この補助金を手伝ってもらえませんか?」といった問い合わせが来ることがあります。まぁ年に1度あるかないかのホントにたまにですが。
実践術②:その他大勢が行かない「準公的機関」の穴場を狙え
多くの人が商工会や青年会議所に入会しますが、正直なところ、そこから優良な顧客を見つけ出すのは運任せな部分が大きいのが現実です。
私が本書で特におすすめしている「穴場」、それは「経済同友会」です。
「会費が商工会よりもずっと高い。だから、所属している経営者は、事業規模も大きいし、何より勉強熱心で、成長意欲が高い人が多いんだ」
さらに、経済同友会は士業の間でそれほどメジャーではないため、ライバルが驚くほど少ないというメリットもあります。その他大勢と同じ場所で消耗するのではなく、質の高い出会いが期待できる「穴場」を戦略的に狙うべきです。
実践術③:カネで解決する「広告・セミナー」という選択肢
もしあなたに潤沢な資金があるなら、広告やセミナーで仕事を取る方法は、最も手っ取り早く、取り組みやすい選択肢の一つです。
「今、一番手っ取り早いのは、やっぱりFacebook広告だろうね」
ただし、ただ「コンサル募集!」と広告を打っても反響はありません。「無料相談」や「無料セミナー」をフックにして見込み客を集め、そこから有料サービスに繋げていく2ステップ、3ステップの戦略が必須です。
しかし、覚悟しなければならないのはそのコストです。私の経験上、
1クライアント獲得にかかるコストは、最低でも10万円、通常は10万円から30万円はかかります。広告は、そのコストを許容できる資金力がある人向けの選択肢と言えるでしょう。
実践術④:IT系コンサルなら「斡旋会社」を賢く使え



民間のコンサルタント斡旋会社を使う手もありますが、ここで稼げるかどうかは、あなたが「IT系」かそれ以外かで、天国と地獄ほど変わってきます。
「もし君がSIerやITコンサル会社でプロジェクトマネージャーやコンサルタントの経験があるなら、話は早い。すぐに稼げる可能性が高いだろうね。月収100万円といった案件もゴロゴロしている」
しかし、IT以外の分野、例えば僕の専門のマーケティングなどでは、案件自体は流れているものの、あっても一つの案件に10人以上が群がるような厳しい競争に晒されます。 IT以外の専門家は、登録だけはしておき、良い話があればラッキー、くらいの心構えでいるのが賢明です。



とはいえ、ほとんどのコンサル斡旋会社は、登録自体は無料なので、手当たり次第、とりあえず登録するのも一つの手かと思います。
実践術⑤:「食い繋ぐ」ための裏ワザ的稼ぎ方を知っておく
独立したての頃や、仕事が途切れた時期に「食い繋ぐ」ための裏ワザ的な稼ぎ方を知っておくことは、精神的な安定に繋がります。それが、「補助金事務局」と「採点業務」です。



僕の周りでは、とりあえずコレで食い繋ぐ人は多いです。
- 補助金事務局:省庁から委託を受けた大手企業から仕事が再委託される形で、1日あたり2万円から3万円程度の報酬が得られます。
- 採点業務:補助金の申請書を一件審査して4000円くらい。一度に20件ほど依頼が来ることが多く、まとめてやれば8万円ほどになります。(小規模事業化持続化補助金みたいな小型補助金だと、1件1500円くらいなので、ちょっと労働対価に合わないかと思います。)
ただし、これらの仕事も募集が表に出ることは少なく、結局は協会のコネなどがないと参入が難しいのが現実です。
実践術⑥・⑦:そして、これが最強の武器になる
上記の方法に加えて、私が本書で特に「最強の武器」として強調しているのが、次の2つの方法です。それは、多くの士業がプライドや思い込みから決してやろうとしない、しかしだからこそ圧倒的な効果を発揮するアプローチです。
- 最強の武器①:飛び込み営業
- 最強の武器②:銀行連携
なぜ「飛び込み営業」と「銀行連携」が最強の武器になるのか?
最強の武器①:誰もやらないからこそ勝てる「飛び込み営業」
「今どき、コンサルタントが飛び込み営業なんて…」
そう思ったかもしれません。しかし、その「誰もやらない」という事実こそが、このアプローチを最強たらしめる理由なのです。
「コンサルティング会社で、泥臭く飛び込み営業をやっているところなんて、まずない。だからこそ、チャンスなんだ。ライバルがいないこの荒野では、成功すれば一気にスケールできる可能性を秘めているんだよ」
考えてみてください。保険やコピー機のように、ニーズがまだ顕在化していない商品は、今でも飛び込み営業が有効な手法です。コンサルティングも同じです。
私が知っている事例では、DMを40件送ってから電話をかけたら5件の受注に繋がったケースや、コンサル未経験の学生インターンに飛び込み営業をさせて契約を取ってきた強者もいます。 元大阪府知事の橋下徹さんですら、弁護士として独立した当初は、自分で飛び込み営業をして顧客を獲得したそうです。



企業への飛び込みやテレコールも効果があると感じてますが、それはちょっと、、、という方は、もう少しハードルが低い方法もあります。
特に有効なのが、展示会へのアプローチです。製造業の展示会などに行き、出展者と名刺交換をして関係を作り、「補助金のコンサルもやっていますが…」と切り出すのです。これを実践している私の知人は、展示会1回あたり、2〜3社の見込み客を捕まえられるそうです。
士業の世界で、自ら泥臭く営業しようという人間はほとんどいません。 だからこそ、やれば、突き抜けられるのです。
最強の武器②:診断士を大歓迎してくれる「銀行」連携



「銀行に営業なんて、ハードルが高そうだ」と感じるかもしれませんが、やりようはあります。
「銀行は、僕ら診断士や認定支援機関を、ものすごく歓迎してくれるんだ」
なぜなら、銀行は融資の稟議を通したい。その時に、事業計画をしっかり書ける診断士が間に入ってくれた方が、稟議が通りやすくなるからです。 診断士だと名乗って銀行に行けば、まず間違いなく歓迎されるはずです。
ただし、アプローチには工夫が必要です。ただ飛び込みで行くのではなく、例えば「中小企業の社長も参加するような、資金繰り改善セミナーを開くのですが、銀行の皆様も参加されませんか?」といった、銀行側にもメリットのある提案をするのです。
また、銀行が私たちを歓迎するのには、もう一つ「下心」があります。 それは、私たちが抱えている中小企業のクライアントを、自分の銀行に紹介してくれるかもしれない、という淡い期待です。
銀行を、単なる融資先として見るのではありません。彼らが持っていない武器(例えば、営業マーケティングやDXの支援)を提示し、ビジネスパートナーとして連携する。 この視点を持つことが、安定した仕事の流れを生み出すための重要な鍵となります。
待つな、仕掛けろ。仕事は自ら創り出すもの
「仕事がない」と嘆くのは、今日で終わりにしましょう。
協会が仕事をくれるのを待つ「待ち」の姿勢では、何も変わりません。この記事で紹介した7つの実践術は、すべて自ら動く「攻め」の姿勢を必要とします。
待つな、仕掛けろ。
仕事は、誰かから与えられるものではなく、自らの知恵と行動で創り出すものです。
本書『中小企業診断士やめとけ』では、ここで紹介した各手法について、さらに具体的なノウハウや、私の経験から得た生々しい失敗談、そして成功の秘訣まで、余すところなく書き記しました。
ぜひ本書を手に取り、その他大勢の「仕事がない診断士」から抜け出すための、力強い一歩を踏み出してください。