40代・50代で独立したけど稼げない…そんな診断士が陥る「3つの罠」と、今すぐ始めるべきV字回復戦略

はじめに:「こんなはずじゃなかった」と嘆く、あなたへ

こんにちは。中小企業診断士の与田太一です。
40代、50代。会社員として豊富な経験と知識を蓄え、一念発起して中小企業診断士の資格を取得。セカンドキャリアの輝かしい一歩として、意気揚々と独立を果たした。
「これまでの経験を活かして、中小企業の役に立ちたい」
「組織のしがらみから解放され、自分の力で稼いでいきたい」
そんな熱い想いを抱いていたはずなのに、現実はどうでしょうか。
- 「独立はしたものの、仕事が全くない」
- 「たまに来る仕事は、驚くほど単価が安い下請けばかり」
- 「協会活動や勉強会に参加しても、人脈が仕事に繋がる気配すらない」
いつしか、独立前の情熱は不安に変わり、「こんなはずじゃなかった」と、ため息をつく日々を送ってはいないでしょうか。
私が本書『中小企業診断士やめとけ』を執筆する中で、特に心を痛めていたのが、まさにあなたのような、豊富な社会人経験を持ちながらも、診断士として稼げずに苦しんでいる40代・50代の方々の存在です。
なぜ、ビジネスの世界で百戦錬磨であるはずのあなたが、独立した途端に稼げなくなってしまうのか。それは、あなたが陥ってしまっている、この業界特有の「3つの罠」に原因があります。
この記事では、多くのミドル・シニア診断士が抜け出せずにいるその罠の正体を暴き、そこから脱出して力強く再起するための「V字回復戦略」を、本書の内容を基に、具体的にお話しします。
なぜ稼げない?40代・50代診断士が陥る「3つの罠」
罠①:「過去の経験」が通用するという幻想
40代・50代で独立する方の多くは、大企業や特定の業界で輝かしい実績を上げてこられたことでしょう。その豊富な経験は、間違いなくあなたの財産です。しかし、それがコンサルタントとして「稼ぐ」ことに直結するかというと、話は別です。
多くの方が陥る第一の罠は、会社員時代の経験や肩書が、独立後の世界でも通用すると思い込んでしまうことです。会社という看板を失った瞬間、あなたは「〇〇会社の元部長」ではなく、ただの「一人のコンサルタント」になります。顧客は、あなたの過去の経歴ではなく、「今、自分の会社に何をしてくれるのか」という、現在進行形の価値だけを見ています。
また、長年の経験が、逆に新しい知識や手法を学ぶ上での足かせになってしまうこともあります。特に、この業界の変化のスピードは凄まじく、補助金の制度やAIのような最新技術は、常にアップデートし続けなければなりません。過去の成功体験に固執し、「自分のやり方」にこだわり続けることは、致命的な結果を招きかねないのです。



とにかく、状況の変化が激しい業界なので、常に「最新の(←ここ重要)」やり方をキャッチアップしていく必要があるのですが、それができている人は診断士の中でも1割もいないのではないでしょうか。
勉強会とかも、私に言わせればほぼおままごとみたいな感じです。
罠②:「協会にいれば何とかなる」という依存の罠
第二の、そして最も多くの人が囚われている罠が、「中小企業診断士協会に所属し、真面目に活動していれば、いずれ仕事が来るはずだ」という、他者への依存です。
診断士の年齢構成は非常に高く、50歳以上で全体の約6割を占めています。そのため、同世代が多く集まる協会は、一見すると居心地の良い場所かもしれません。しかし、その居心地の良さこそが、あなたを稼げない状況に縛り付ける原因なのです。
本書で繰り返し指摘している通り、協会経由で紹介される「公的業務」は、驚くほど単価が安く、しかも協会の有力者との「コネ」がなければ、なかなか回ってきません。
「僕の知人には、支部長とのゴルフに絶対に参加する、という人までいるくらいだ。公的な業務が、個人のゴルフの付き合いで決まるなんて、本当にどうかしていると思うけど、それがこの業界のリアルなんだ」
あなたは、貴重な時間と労力を、仕事に繋がるかどうかも分からない不透明な「協会活動」や「人付き合い」に浪費してしまってはいないでしょうか。それは、ビジネスではなく、単なる「待ち」の姿勢に他なりません。
罠③:「学び直し」という名の、終わらないモラトリアム
40代・50代で独立する方は、非常に真面目で勉強熱心な方が多いのが特徴です。その真面目さゆえに、第三の罠に陥りがちです。それは、「まだ自分には知識が足りない」という不安から、永遠に「学び直し」を続けてしまう罠です。
診断協会には、様々なテーマの「研究会」や、独立を支援するための「マスターコース」が数多く存在します。しかし、その実態はどうでしょうか。
「ハッキリ言おう。協会はサロンで、研究会は基本的には『お勉強』の場だ。そこから仕事が生まれることは、まずない」
多くの研究会やマスターコースは、実践的な仕事の獲り方を教える場ではなく、診断士同士で知識を確認し合う「お勉強ごっこ」に終始してしまっています。あなたは、稼ぐための具体的な「行動」を起こす代わりに、安心感を求めて「学ぶ」という行為に逃げ込み、貴重な時間を浪費してはいないでしょうか。それは、もはや自己投資ではなく、稼げない現実から目を背けるための「モラトリアム(猶予期間)」でしかないのです。



まぁ、一部、ホントに仕事を回してくれるマスターコースや研究会もありますが、会員に案件をキチンと回せることができる力のあるマスターコースや研究会は、極々一部でです。
今すぐ始めるべきV字回復戦略
過去の経験への固執、協会への依存、そして終わらない学び直し。これら3つの罠から抜け出し、再び稼ぐ力を取り戻すために、何をすべきか。ここからは、そのための具体的な「V字回復戦略」を3つ、提案します。
戦略①:「経験」を「キャラ」に転換し、圧倒的な価値を提示せよ
あなたの40年、50年の人生経験は、決して無駄ではありません。問題は、その使い方です。単なる「経歴」として語るのではなく、あなたという人間を際立たせる「強烈なキャラ」として転換させるのです。
「コンサルでうまくいっている人は、良い意味でも悪い意味でも、個人としてキャラが立っている人が多い。企業の組織の中では、ちょっとやっていけないくらいの癖のある人の方が、独立して成功している」
例えば、私が「1年の半分をホテルで暮らし、携帯用の洗濯機まで持ち歩いていた」という話をすると、クライアントは面白がって興味を持ってくれます。それは、単なる経歴ではなく、私の「人となり」を伝えるエピソードだからです。
あなたのこれまでの人生で、他の誰もしていないようなユニークな経験はありませんか?
大きな失敗談、泥臭い成功体験、あるいは変わった趣味でも構いません。
その経験を、あなただけの「キャラ」として打ち出し、「あなたにお願いしたい」と言わせるほどの圧倒的な価値を提示する。これが、その他大勢の診断士から抜け出すための第一歩です。
戦略②:「待ち」から「攻め」へ。最強の武器を手に、自ら仕事を取りに行け
協会が仕事をくれるのを待つのは、今日でやめましょう。自ら顧客の懐に飛び込んでいく「攻め」の姿勢こそが、あなたの状況を打開します。そのための最強の武器が、「飛び込み営業」と「銀行連携」です。
- 飛び込み営業:多くの士業がプライドから絶対にやらない、完全なブルーオーシャンです。コンサル未経験の学生インターンに飛び込み営業をさせて、契約を取ってきた猛者もいます。あなたが持つ豊富な社会人経験と対話力は、必ずやこの泥臭い営業の場で活きるはずです。
- 銀行連携:銀行は、融資の稟議を通しやすくしてくれる診断士を「大歓迎」してくれます。銀行にとってメリットのあるセミナーを提案するなど、戦略的にアプローチすることで、安定した紹介ルートを築くことが可能です。
40代・50代のあなただからこそ持てる「胆力」と「社会的信用」を活かし、自ら仕事を取りに行くハンターへと変貌するのです。
戦略③:「知識」はAIに任せ、「戦略」と「ビジョン」で勝負せよ
「最新の知識についていけない」と不安に思う必要は、もはやありません。
「これからは知識を『覚える』時代じゃない。むしろ、知識を『捨てる』勇気を持つ時代なんだ。知識はAIやデータベースに預けておけばいい」



私が新しい分野のコンサルティングを始める際、もはや関連書籍を読み込むことはしません。
代わりに、数十冊の書籍や論文をAIに学習させ、最適な答えを一瞬で引き出します。
あなたがやるべきことは、AIを優秀な部下として使いこなし、顧客の課題を解決するための「戦略」と、業界の未来を示す「ビジョン」を語ることに集中することです。
「今の業界の問題点は何か」「将来、どんな危機が訪れるか」「その問題に、どう対応すべきか」。この3つを、自分の言葉で語れるかどうかだ。
あなたの豊富な人生経験から紡ぎ出されるビジョンこそ、若いコンサルタントやAIには決して真似できない、あなただけの最強の付加価値となるのです。
40代・50代は、終わりではなく「第二のスタート」だ
「もう若くないから」と、諦める必要は全くありません。
あなたが陥っていたのは、年齢のせいではなく、業界の構造的な「罠」のせいです。その正体を知り、正しい戦略を手にすれば、あなたの豊富な経験と知識は、再び輝きを取り戻します。
本書『中小企業診断士やめとけ』は、単に業界の闇を暴くだけでなく、あなたのような、一度は道に迷いながらも、再び立ち上がろうとするすべてのミドル・シニア診断士に贈る、具体的な「V字回復のための戦術マニュアル」です。
本書を手に取り、3つの罠から脱出してください。
そして、経験をキャラに変え、攻めの姿勢で、AIを従え、あなたにしか語れないビジョンで勝負する。
その時、あなたの診断士としての「第二のキャリア」は、本当の意味で始まります。